腸脛靭帯炎(ランナー膝)とは
腸脛靭帯炎は、膝の外側にある腸脛靭帯に炎症が起こることで特徴付けられます。
腸脛靭帯は、お尻の筋肉から大腿部外側から脛骨(膝の下の骨)に伸びる靭帯で、膝関節を安定させる役割を持っています。
ランニングやスポーツ活動中に、膝への負荷や過度のストレスがかかると、腸脛靭帯に炎症が生じることがあります。
腸脛靭帯炎の原因
ランニングでの過度な負担
普段以上の長時間のランニングや普段より高強度の運動、急なスピードアップ、急激なトレーニングの増加など、脛骨や腸脛靭帯に過度の負荷をかける運動が続くと、腸脛靭帯に炎症が生じる可能性があります。
下肢の筋力不足と筋バランスの乱れ
腸脛靭帯炎は、脚の筋肉の強さやバランスに関連して発生する可能性があります。
特に内側広筋(前太ももの内側)と中殿筋(お尻外側の筋肉)の筋力不足やバランスの乱れが関与していることがあります。
姿勢の問題とランニングフォームの影響
腰が落ちた姿勢や上半身のコア(体幹)の弱さは、脚への負荷を増やし、腸脛靭帯に過度のストレスをかける可能性があります。
ランニング時のフォームも腸脛靭帯炎の発症に関与します。
特にオーバーストライド(大きな歩幅での着地)やハードなヒールストライク(着地時にかかとから接地する)は、膝への衝撃や負荷を増大させ、発祥の可能性が高くなります。
足部のアライメント(骨の配列)の問題
通常ランニング時、足には体重の2〜3倍の負荷がかかるといわれています。
ランニングに限らず、足を地面に設置される際、足首をねじることによってその負荷を逃す身体の機能が人間には備わっています。
これを「プロネーション」といいます。
人によっては、このプロネーションがかかり過ぎ、足首が内側に倒れこみ過ぎてしまうことがあります。この状態のことを「オーバープロネーション」と言います。(わかりやすく言うと扁平足の状態)
オーバープロネーションの状態で走りこみを続けると、体重による過負荷がかかり、足首や足部だけでなく膝や腰までランニング障害(腸脛靭帯炎)になってしまう可能性があります。
箱根ランナーが実践した腸脛靭帯炎の予防策4つ
適切なストレッチ
腸脛靭帯自体を伸ばすストレッチと腸脛靭帯の元になっている大殿筋の筋肉をストレッチすると効果的なストレッチになります。
【腸脛靭帯ストレッチ】
立った状態で脚をクロスさせ、足同士を拳ひとつほど離します。
この状態から上体を前に倒していき、後ろの脚に向かって両手を伸ばします。
後ろ足の太ももの外側が帯びている感覚があればOKです。
【大殿筋ストレッチ】
仰向けの状態で、右足を左足の膝の上にのせます。そのまま、左足をお腹につけるように腕で引き寄せます。
するとお尻に伸ばされた感覚があると思います。
その感覚があればOKです。
筋力トレーニングとバランス改善
腸脛靭帯炎は膝や体が横にブレると局所にストレスがかかりやすくなるので、その横ぶれを予防するトレーニングです。
【中殿筋トレーニング】
四つん這いの姿勢になります。
その状態で片足を横に上げていきます。
その時に骨盤が動かないように注意してください。
骨盤をしっかり固定するとあまり脚は外側には開きづらいので、お尻の横に辛い感じがしたらOKです。
【体幹トレーニング(サイドプランク)】
横向きになり、肘を曲げて床につく。
両脚は重ねて伸ばしておく前腕部と足でカラダを支え、腰を床から浮かせ下半身を支える。
【適切な靴選びと足のサポート】
靴はたくさん種類があって自分に合う靴がわからない、とりあえず流行っている靴を履いておけばいいかと思われていませんか?
ランニングシューズを選ぶときのポイントを3つお伝えいたします。
①靴のつま先と踵を持って縦に半分に曲げた時に前1/3で曲がるもの
足は歩く時に地面から離れる瞬間につま先は反るような形になると思います。
そこで靴も自然に曲がると足に負担なく歩いたり、走ったりできます。
②靴をねじってもてもねじれない
足の怪我の原因の一つに足のねじれがあります。
靴がねじれづらいと足のねじれを予防して、足をサポートをしてくれます。
③踵を後ろから押しても潰れない
踵がブレないことが足の怪我の予防につながります。
踵が靴によって安定することで安定して歩いたり、走ったりすることができます。
ランニングフォームの改善
シンスプリントの痛みを抱えながら走る場合でも、フォームの改善によって負担を軽減することができる場合があります。
意識するのは重心を動かしていくことと上半身を使うことです。
人間の身体の重心というのはだいたいおへそと恥骨の間くらいの位置にあります。そこを一番はじめに動かしていくことが必要になってきます。
まずは正しい姿勢で走ることです。
背筋を伸ばし、上半身をやや前傾させて軽い前かがみの姿勢をキープして走りましょう。
腰や肩の緊張を解き、身体のバランスを保つことができます。
ただ姿勢を意識しすぎて上半身が使えなくなるもよくないです。
肩甲骨から上肢を動かすことで、上半身の回旋運動が出やすくなります。
上半身の回旋運動が出ることで上半身を使ったランニングをすることができ、足に負担がかかりにくくなります。
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効果的なトレーニングプログラムの構築
実は怪我にはそれが一番よくないことです。
まず確認しなくてはいけないことは走ってみて痛みがあるかないかです。
なのでまずは短い距離から走ってみましょう。
例えばジョグのペースで1km走ってみて痛みがあるかないか?次の日に痛みがあるかないか?
次の日も痛みがなければ次の日は同じペースで2kmにしてみる。
それで問題なければ次はペースを少し上げて、距離は同じ2kmでどうか走ってみる。
このように始めはまず自分で負荷を設定してみて徐々に負荷を上げていくのがベストです。
負荷の上げ方としてはペースと距離はどちらかだけ上げることです。
ペースと距離を両方同時に上げてしまうと自分が思っているより上がってしまうので注意が必要です。
栄養と休息の重要性
バランスの取れた食事は 良質なタンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルを含むバランスの取れた食事を摂ることが重要です。
適切な栄養バランスは筋肉の修復と成長をサポートし、ランニング障害の予防に役立ちます。
特に必要な栄養素はタンパク質です。
タンパク質は身体を作る材料になります。
怪我を修復する時には必須の栄養素になります。
しかも普段の食事だけでは必要量が取れない可能性もあるのでプロテインから撮ることもおすすめします。
必要量としてはランニングをやっている方であれば最低でも自分の体重g分は取っていただきたいです。例:50kgの方であれば50g
適切な水分補給 として特にンニング中は水分を失いやすくなりますので、十分な水分補給が必要です。
適度な水分補給を行い、脱水症状を防ぎましょう。
目安としては日常生活でも2ℓは取るように意識しましょう。
炎症を抑える効果のある食品や成分を摂取することも有効です。
例えば、オメガ-3脂肪酸を含む魚や亜麻仁油、抗酸化作用のある果物や野菜などを積極的に摂取しましょう。
【睡眠】
ランニング後やトレーニング期間中には、十分な睡眠を確保することが重要です。
睡眠は身体の回復や修復のために不可欠であり、ランニング障害の予防や治癒にも寄与します。
定期的な休息日を設けることも重要です。
ランニングやトレーニングによる身体への負荷を緩和し、筋肉や組織の回復を促します。
過度なトレーニングや過労はランニング障害を引き起こす可能性があるため、バランスの取れたトレーニングスケジュールを作成しましょう。